毎年12月3日から9日までの一週間は「障害者週間」です(障害者基本法9条)。今回は、障害者雇用について解説します。

1.障害者雇用促進法

(1)雇用義務制度

事業主に対し、下表の障害者雇用率(法定雇用率)に相当する人数以上の身体障害者・知的障害者・精神障害者の雇用を義務づけています。

区分雇用率   (障害者を1人以上雇用しなければならない事業主の範囲)
民間企業2.3%以上 (常用雇用労働者数43.5人以上)
官公庁・特殊法人2.6%以上 (    同   38.5人以上)
一部の教育委員会2.5%以上 (    同   40.0人以上)

上記( )内の事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。

(2)障害者雇用調整金・障害者雇用納付金制度

障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるという社会連帯責任の理念に立ち、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図る等のために設けられた制度です。

障害者雇用調整金の支給は、法定雇用率を達成している事業主に調整金が支給されます。

障害者雇用納付金の徴収は、法定雇用率未達成の事業主から不足する障害者数に応じて1人につき月額5万円を納付させるものです。

調整金・支給金の対象事業主は、常時雇用している労働者数が100人を超える事業主です。

(3)差別の禁止・合理的配慮等

同法では、雇用の分野で障害者に対する差別の禁止、合理的配慮の提供義務、相談体制の整備・苦情処理・紛争解決援助等が定められています。

差別の禁止に関する指針では、募集・採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練などの各項目において、障害者であることを理由に排除することや障害者に対してのみ不利な条件とすることなどが差別に当たるとされています。

合理的配慮に関する指針では、募集・採用時に、視覚障害者に募集内容を音声等で提供したり、聴覚障害者に面接を筆談等で行ったりするほか、採用後は、肢体不自由者に机の高さを調節して作業を可能にする工夫を行う等の配慮が示されています。

2.その他障害者に関する主な法律

障害者に関して、次のような法律が制定されています。

・障害者総合支援法………障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)、就労支援に関する事業(就労移行支援・就労継続支援・就労定着支援)など

・障害者虐待防止法………使用者による障害者虐待(身体的・性的・心理的・経済的等)の防止

・障害者優先調達推進法…国等の公機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設等から優先的・積極的に購入することを推進する

日本経済の再生に向けた“働き方改革”においては、労働参加率の向上を掲げ、「多様な人材の活躍促進」として女性・若者・高齢者・障害者・外国人等を挙げています。人口減少社会においては、多様な人材が持つ能力・特性を活かして、多様な人々に向けた商品・サービス開発などの新たな価値創造につなげる、ダイバーシティ経営が求められています。障害者雇用に関しては、まずはハローワークにご相談ください。